お客様の声vol.14「自然の中で遊ぶ。“五感を育む もりのお庭”。」鹿児島市 ゆとりのもりほいくえん様

起伏を設けた芝生の庭で、元気に跳ね回るこどもたち。2025年4月に開所した鹿児島市吉野町の「ゆとりのもりほいくえん」では、葉っぱに触れたり、どろんこ遊びをしたりと、子どもたちが思い思いに自然と親しむ姿があります。
soenとの出会いのきっかけは何ですか?
自然を活かし細部までこだわった空間づくりに惹かれて

私たちが大切にしている「豊かな経験を通して“生きる力”を育てる」「自然の中で子どもが主体的に育つ保育」を実現できる園庭づくりを考えていたとき、Instagramで事例を拝見したのがきっかけです。soenさんの、自然を活かし繊細であたたかみのある空間づくりに強く惹かれました。お庭全体だけでなくディテールも印象的で、細部までこだわっているところも好印象でした。
こんな庭にしたいというご要望はありましたか?


自然の中で遊びを発見!「五感を育む もりのお庭」
滑り台などの遊具を置かず、「自然そのものの中で子どもが自由に遊べる」園庭をお願いしました。季節のうつろいの中で、子どもたちが土・木・石・水などの自然素材に触れ、風の音やさえずりに耳をすまし、草木や土の香りを感じる。自然とつながる穏やかな空間で、子どもたちが「自分で遊びを見つけられる」お庭です。

「けんけんぱ」と「もりのステージ」に感動!
soenさんと打ち合わせを重ね、コンセプトは「五感(視・触・聴・嗅・味覚)を育むもりのお庭」に決まりました。子どもたちが楽しく遊ぶ姿をイメージしながらさまざまなアイデアを提案してくださったのですが、特に園のアプローチ「けんけんぱ」と、芝生を盛り上げた「もりのステージ」には感動しました!

もちろんそれぞれに設計の狙いはありますが、私たちは子どもたちに遊び方は教えません。0~2歳の子どもたちも多い園ですが、何も教えられなくても、子どもたちは自然とステージの上に立ったり、丸太に座ったり、葉っぱや石、水たまりに触れたりと、自然の中での遊びを日々発見しています。

唯一遊具らしいものといえば丸太ですが、それも決まった遊び方があるわけではなく、「環境とブレンド」されているのがいいですよね。
年齢に応じた「自然あそび」ができる園庭づくり

隣接する兄弟園「ななやしろのもりほいくえん」と共有する小さな森もあるので、低年齢の子どもたちは安全に過ごせる園庭からスタートして、少しずつ森へ移行していく。成長段階やシーンに応じて、自然に触れ合える2つのステージがあるのも、狙いのひとつです。安全にはもちろん配慮しますが、保育園だからといって危険を完全に排除するのではなく、石などの素材も恐れずに入れてください、とお願いしました。
実際にこの園庭で過ごしてみて、いかがですか?


これからのお庭の「進化」にワクワク
子どもたちが親しんでくれているのはもちろん、スタッフからも「子どもたちが夢中で遊べ、この環境の価値を実感できる」という声もあり、「ゆとりのもりほいくえん」らしさの詰まった、園の大切な一部になっています。
細かく設計した上で余白も残した「進化できる」園庭づくりをしてもらったので、子どもたちがどんな風に使うかを見ながら、お庭も少しずつ変わっていくと思います。10種類の植栽もこれからどんどん大きくなって気持ちのいい木陰ができるでしょうし、木登りができる木も植えたい。ビオトープにはどんな生き物が来てくれるか、子どもたちとワクワクしながら待ちたいと思います。
soenを利用された感想を教えてください

子どもたちのための樹名板や植樹祭にも感動
プランの提案から完成まで、一つひとつ丁寧に、そして親身に対応してくださり、安心して一緒に園庭をつくることができました。限られた予算の中でも、こちらの理想を最大限に汲み取り、工夫して形にしてくださったことに感謝しています。
また、子どもたちが木に親しめるようにひらがなの樹名板をつけてくれたりと、細かなところまで考えてくださったのも、とてもうれしかったです。園の「木のキャラクター」をイメージしたシンボルツリー・モミノキを植えた際は、soenさんのご提案で、子どもたちを招待した植樹祭も企画してくれました。まだ小さいモミノキですが、この木と子どもたちとともに、園も成長していきたいと思います。
soenから〜プランニングのポイント

子どもたちの遊びを育む10種の木があるお庭
ゆとりのもりほいくえん様の園庭デザインコンセプトは「こころにゆとりを~五感を育むもりのお庭」。こどもたちが生き生きと遊ぶ姿を想像し、「登園する時にサクラが見えるといいよね」「鹿児島ならではの加治木石を使ってみるのはどうか」「子どもたちが木の名前を覚えられるように樹名板をつくろう」など、soenチーム全員でアイデアを出し合いながら作庭していきました。
出来上がったのは、木を中心に、子どもたちが思いっきり走って遊べるお庭。園のある「七社(ななやしろ)」の地にちなみ、7つのポイントがあります。

1)木のトンネル&けんけんぱ
園の入口から園舎をつなぐのは、デザイン性と遊び心が詰まった大きくて不思議な形のけんけんぱ。ブラシノキ、サクラ、モミジが迎えてくれる、ワクワクするアプローチに。木が成長したら、大きなトンネルになるデザインです。

2)もりのステージ
芝生のお庭の真ん中に設けた、柔らかいステージが、このお庭の中心です。裸足で駆け上がって歌ったり踊ったり、ひとりひとりが主役になれる場所をイメージしました。

3)どろんこ広場
どろんこになって思いっきり遊ぶことができるよう、芝生エリアからシームレスにつながる土遊びゾーンを設けました。木々が成長すれば木陰になり、過ごしやすくなると思います。

4)もりの菜園
ビワの木とブルーベリーを植えた、菜園スペース。畑としての計画はこれからですが、子どもたちが自分で収穫を楽しむ時間は五感を刺激してくれることでしょう。

5)いのちのビオトープ
セキショウ、アガパンサスに囲まれた小さなビオトープ。水草にはホテイアオイを。どんな生き物がやってくるのか、春が楽しみになると思います。

6)おはなしデッキ
景色を眺めてぼーっとしたり、先生やお友だちと楽しくお話ができるよう、園舎のまわりにウッドデッキを設置。ステップに用いた「加治木石」は、鹿児島の伝統的な石材で、現在ではとても貴重なものです。ゆとりのもりほいくえん様のお庭に合わせて誂えたsoenオリジナルで、デザイン性も意識してカットラインを入れたり、角に丸みをつけるなどの加工も施しています。
7)園と共に成長する樹木たち


シンボルツリーのモミノキの他、五感を刺激する10本の木(クスノキ、ビワ、シマトネリコ、オリーブ、カツラ、イチョウ、ブラシノキ、モミジ、クヌギ、サクラ)を植えました。ボトルブラシにそっくりの花が咲くブラシノキ、葉の形が特徴的ななモミジやイチョウ、甘い香りのするカツラ、カブトムシが集まるクヌギなど、子どもたちが覚えやすく、遊びにつなげやすい木をセレクトしています。また、常に緑に触れながら四季のうつろいも体感できるよう、常緑と落葉をバランスよく配置しています。

泥だらけで遊ぶ子、元気に飛び跳ねている子、芝生でのんびりしている子――今回の撮影で、お庭で楽しく、そして思い思いに過ごす子どもたちを見ることができ、とても嬉しくなりました。また、小さな頃から植物や自然に親しむことの豊かさも、改めて感じることができました。子どもたちと一緒にお庭の木々もスクスク成長し、みんなが卒園を迎えるころには、木々が豊かに茂る素敵なお庭に育っていると思います。その日を楽しみに、私たちも見守っていけたらと思います。

《施工箇所》
・芝張り
・植栽
・森のステージ
・どろんこ広場
・アプローチ(けんけんぱ)
・ウッドデッキ
・ビオトープ
・果樹園造園
・丸太遊具作成
・加治木石ステップ作成
・フェンス、門扉設置
・側溝工事
・駐車場舗装